現場安全ガイド / 保護具と事業者の対応
会社は保護具をどこまで用意する? 「備える・使用させる・支給する」の違い
「建設会社ならヘルメット、安全靴、手袋を全部会社が無料支給」と一文で整理できる制度ではありません。作業や危険の種類によって、法令が事業者に求める対応は異なります。
00 / 先に結論
会社側の対応は、条文ごとに違う
必要な保護具は、作業場所や危険の種類、扱う物質などの条件で変わります。
安衛則593条などには、労働者に使用させるため保護具を備える規定があります。
対象となる振動工具の指針では、防振手袋などについて「支給し、使用させる」と示されています。
「使用させる」「定める」という規定だけから、購入方法や精算方法まで断定しません。
01 / 法令・指針の表現
「備える」「使用させる」「支給する」を分けて読む
事業者は、通路などの構造や作業の状態に応じて、安全靴その他の適切な履物を定め、労働者に使用させる必要がある。
原文の要点: 「定め、当該履物を使用させなければならない」有害な業務では、事業者は労働者に使用させるため、保護衣、保護メガネ、呼吸用保護具などの適切な保護具を備える必要がある。
原文の要点: 「使用させるために、保護衣、保護眼鏡、呼吸用保護具等適切な保護具を備えなければならない」皮膚や眼への障害、有害物の皮膚吸収・侵入などのおそれがある業務では、事業者は労働者に使用させるため、保護手袋、履物、保護メガネなどの適切な保護具を備える必要がある。
原文の要点: 「使用させるために、塗布剤、不浸透性の保護衣、保護手袋、履物又は保護眼鏡等適切な保護具を備えなければならない」皮膚等障害化学物質等を製造・取り扱う対象業務では、事業者は不浸透性の保護衣、保護手袋、履物、保護メガネなどの適切な保護具を労働者に使用させる必要がある。
原文の要点: 「適切な保護具を使用させなければならない」皮膚や眼への障害などのおそれがないことが明らかとはいえない対象化学物質の製造・取扱業務では、事業者は適切な保護具を労働者に使用させるよう努める必要がある。
原文の要点: 「適切な保護具を使用させるよう努めなければならない」強烈な騒音を発する場所での業務では、事業者は労働者に使用させるため、耳栓その他の保護具を備える必要がある。
原文の要点: 「使用させるために、耳栓その他の保護具を備えなければならない」対象業務で労働者に聴覚保護具の使用を命じた場合、事業者は使用が必要であることを、作業中の労働者が容易に分かる見やすい場所へ掲示する必要がある。
原文の要点: 「見やすい場所に掲示しなければならない」第593条第1項、第594条第1項、第594条の2第1項、第595条第1項の保護具は、事業者が同時に就業する労働者数以上を備え、常時有効かつ清潔に保つ必要がある。
原文の要点: 「同時に就業する労働者の人数と同数以上を備え、常時有効かつ清潔に保持しなければならない」第593条第1項、第594条第1項、第594条の2第1項、第595条第1項の対象業務では、労働者は事業者から必要な保護具の使用を命じられたとき、その保護具を使用する必要がある。
原文の要点: 「当該保護具を使用しなければならない」第593条・第594条・第595条の対象業務の一部を請負人に請け負わせる場合、事業者には、必要な保護具を使用できるようにする必要があることを請負人へ周知する規定がある。
第595条第2項に基づいて請負人へ聴覚保護具を使用する必要があることを周知した場合、事業者はその必要性を見やすい場所へ掲示する必要がある。
厚生労働省の振動障害予防対策指針では、対象となる振動工具の作業で、軟質で厚い防振手袋等を支給し、作業者に使用させるとしている。
原文の要点: 「軟質の厚い防振手袋等を支給し、作業者に使用させること」同じ振動障害予防対策指針では、90dB(A)以上の騒音を伴う対象作業で、耳栓または耳覆いを支給し、使用させるとしている。
原文の要点: 「90dB(A)以上の騒音を伴う作業の場合には、作業者に耳栓又は耳覆いを支給し、使用させること」02 / 化学物質
化学物質では「義務」と「努力義務」を分ける
皮膚等障害化学物質等を扱う対象業務では、安衛則594条の2が適切な保護具を使用させる義務を定めています。一方、594条の3は、危険がないことが明らかとはいえない対象化学物質について、適切な保護具を使用させるよう努める規定です。
GROUNDでは、この二つをどちらも単に「おすすめ」とは表示しません。法令上の義務と努力義務を分けて示します。
03 / 騒音
聴覚保護具は、備付けだけで終わらない場合がある
強烈な騒音を発する場所での業務では、安衛則595条に耳栓などを備える規定があります。さらに、労働者へ使用を命じた場合は、その必要性を見やすい場所へ掲示する規定があります。
請負人へ使用の必要性を周知した場合にも、別途掲示の規定があります。雇用労働者への措置と請負人への措置は、同じ文章にまとめません。
04 / 費用負担
「会社が買うべき?」は、根拠に書かれた範囲で答える
「支給」と明記されている
その指針については、事業者側の支給措置として表示します。
「備える」と明記されている
必要な保護具を利用できる状態にする事業者側の措置として表示します。
「定め、使用させる」と明記されている
使用する履物などを決め、使用させる規定として表示します。購入や精算の方法までは補いません。
メーカー取扱説明書だけに要求がある
法令上の義務とは分けて、使用する機種のメーカー要求として表示します。
05 / 根拠資料
確認した資料と場所
- 労働安全衛生規則第558条 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第593条第1項 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第594条第1項 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第594条の2第1項 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第594条の3第1項 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第595条第1項 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第595条第3項 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第596条 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第597条 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第593条第2項 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第594条第2項 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第595条第2項 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- 労働安全衛生規則第595条第4項 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針について(平成21年7月10日 基発0710第2号)別紙10(1)「防振保護具」 / 確認日 2026-09-02原典を確認する
- チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針について(平成21年7月10日 基発0710第2号)別紙10(2)「防音保護具」 / 確認日 2026-09-02原典を確認する