労働衛生 / 暑熱 / 屋内・屋外共通

熱中症対策は屋外だけではない。屋内・屋外でWBGTから作業を組み直す

「外仕事だから暑い」「屋内だから大丈夫」では判定しません。実際の作業場所のWBGT・気温、湿度、輻射熱、連続時間、身体作業強度、着衣・保護具、暑熱順化、健康状態を組み合わせて作業を設計します。

中心根拠
安衛則612条の2 / 2026年熱中症防止ガイドライン
確認日
2026-09-04

00 / 先に結論

水分補給だけを熱中症対策にしない

01

場所でなく条件を見る

WBGT28℃以上または気温31℃以上で、連続1時間以上または1日4時間超が見込まれる作業は612条の2の対象条件として確認します。

02

連絡先を決める

自覚症状が出た人、異常に気付いた同僚がすぐ報告できる体制を事前に作り、周知します。

03

倒れてから考えない

作業離脱、身体冷却、受診・搬送等の手順を作業場ごとに事前作成します。

04

作業そのものを軽くする

WBGT低減、休止・休憩、作業時間短縮、暑熱順化、プレクーリングを先に組みます。

01 / 法令対象

WBGT・気温と「どれだけ続けるか」を確認する

安衛則612条の2は「屋外作業」という名称にだけ掛かる規定ではありません。厚労省通達では、WBGT28℃以上又は気温31℃以上の場所で、継続1時間以上又は1日4時間を超えることが見込まれる作業を「熱中症を生ずるおそれのある作業」と整理しています。

非定常・臨時作業でも条件を満たせば対象です。また、この閾値に届かなければ熱中症対策が不要、という意味でもありません。身体作業強度や着衣・保護具で熱負荷が増える場合は別途リスクを評価します。

02 / 屋外・屋内

同じ30℃でも、熱の入り方が違う

屋外

屋外

直射日光、照り返し、風の弱さ、保護帽・長袖等の着衣条件を見ます。通風のよい屋外で判断可能な場合は天気予報等も利用できますが、現場条件との差を確認します。

紫外線・日射対策を見る
屋内

屋内

炉・機械・屋根等からの輻射熱、湿度、空気の動き、冷房能力、発熱設備、保護具による熱こもりを見ます。屋外予報だけで判定しません。

屋内暑熱を詳しく見る

03 / WBGT

気温だけでなく、実際の作業場所で測る

原則は作業が行われる場所でWBGT又は気温を実測します。2026年ガイドラインではJIS B 7922等に適合したWBGT指数計による把握を示し、身体作業強度や着衣条件等も考慮してリスクを見積もります。

測定器を置くこと自体が対策ではありません。基準を超えるなら、熱源遮へい、簡易屋根、冷却・休憩場所、作業時間短縮等へつなげます。

04 / 作業前

朝礼で「水飲んで」で終わらせない

  1. 今日のWBGT・気温と作業位置を確認時間帯で場所・日射・熱源条件が変わるなら再評価する。
  2. 作業負荷と保護具を確認重筋作業、連続作業、不透湿な保護衣等は熱負荷を上げる。
  3. 報告先を確認誰へ、どう連絡するか。単独作業や移動作業も連絡不能にしない。
  4. 異常時手順を確認離脱、身体冷却、受診判断、緊急連絡、搬送先まで事前に決める。
  5. 当日の体調・順化を確認睡眠不足等の変化、休み明け、新規入職・配置替え等を見落とさない。

05 / 作業中

「我慢できるか」ではなく、作業計画を変える

A

WBGTを下げる
熱源との遮へい、簡易屋根等、環境側から熱負荷を下げます。

B

休止・休憩を入れる
作業時間を短縮し、速やかに利用できる涼しい休憩場所を確保します。

C

暑熱順化
暑さに慣れていない人へいきなり通常負荷を掛けず、段階的に慣らします。

D

プレクーリング
作業開始前や休憩時の身体冷却を、現場条件に応じて組み合わせます。

E

水分・塩分
喉の渇きだけに頼らず、作業前後と作業中に定期的に摂取できる計画にします。

F

巡視・声かけ
高温多湿作業では頻繁に状態を確認し、本人の自己申告だけへ依存しません。

06 / 異常時

症状が疑われたら作業継続を判断させない

熱中症を疑わせる症状があれば、一旦作業から離れ、涼しい場所で身体を冷却します。必要に応じて医師の診察・処置へつなぐ手順までが法令上の事前準備です。「少し休んで戻れるか本人に聞く」だけの運用にしません。

07 / 補助用品

ファン付き作業服は「追加策」として見る

先にWBGT・作業時間・休憩を組む

厚生労働省は送風・送水等で身体を冷却する服を対策として挙げていますが、それだけで熱中症を防ぐことは困難としています。以下はランキングではなく、公式仕様と使用境界を確認できた補助用品の例です。

公式仕様確認補助用品

空調服 KU92600 + SK25011 / FA25112

確認日 2026-09-04

公式仕様

ウェア規格
KU92600はJIS T8118帯電防止規格適合
最大風量
FA25112は25V時103L/秒(ファン2個)
ファン質量
115g/個

使用境界

  • KU92600の素材は火気に弱いため、火気を扱う環境では着用しない。
  • SK25011/FA25112はメーカーが指定する専用機器を組み合わせ、他社製デバイスとの混用を前提にしない。
この用品で代替しない対策

作業場所のWBGTを実測し身体作業強度・着衣条件も含めて評価する / WBGTと作業負荷に応じて作業時間を短縮し休止・休憩を確保する / 暑熱作業中に巡視・声かけを行い体調変化を早期に把握する

快適性に関する情報

メーカー説明横ファン・見返しメーカーは横ファン配置と見返しにより顔へ向かう風を軽減する構造を説明している

客観仕様最大風量25V時103L/秒(ファン2個)

メーカー公式仕様を確認する
公式仕様確認補助用品

FZN 空調風神服 Japan Label 24V RD9690PJ × RD9610PH

確認日 2026-09-04

公式仕様

最高出力
24V
最大風量
約100L/sec(24V稼働時)
連続稼働
HIGHモード約8時間(RD9690PJ × RD9610PH使用時)

使用境界

  • 最大風量・稼働時間はRD9690PJ × RD9610PHの指定組合せ条件で確認し、他構成へ一般化しない。
  • IP55適合の防塵・防水表記はバッテリーのみであり、ウェア・ファンを含むシステム全体の防塵・防水性能として扱わない。
この用品で代替しない対策

作業場所のWBGTを実測し身体作業強度・着衣条件も含めて評価する / WBGTと作業負荷に応じて作業時間を短縮し休止・休憩を確保する / 暑熱作業中に巡視・声かけを行い体調変化を早期に把握する

快適性に関する情報

客観仕様最大風量約100L/sec(24V稼働時)

客観仕様連続稼働HIGHモード約8時間(指定組合せ時)

メーカー説明操作性メーカーは表示・アプリ連動による風量調整と残量確認を特長としている

メーカー公式仕様を確認する

製品仕様の掲載は、特定の作業条件で熱中症を防止できることや、他製品より優れていることを保証するものではありません。

08 / 根拠付き労働衛生情報

法令と行政指針を分けて読む

法令必要

熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、作業従事者に自覚症状がある場合又は他の作業従事者が熱中症の疑いを発見した場合に、その旨を報告できる体制をあらかじめ整備し、関係作業従事者へ周知する。

法令必要

熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、作業場ごとに作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医師の診察又は処置その他重篤化防止に必要な措置の内容と実施手順をあらかじめ定め、関係作業従事者へ周知する。

行政指針条件付き

安衛則第612条の2の「熱中症を生ずるおそれのある作業」は、WBGT28度以上又は気温31度以上の場所で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業として扱う。

屋内・屋外という場所の名称ではなく、WBGT又は気温と作業継続時間等で対象条件を確認する / 非定常作業・臨時作業でも条件を満たすことが見込まれる場合は対象となる / この数値未満でも身体作業強度、着衣等により熱中症リスクが高い場合は予防対策を不要としない
行政指針条件付き

暑熱な場所に該当するかは原則として実際に作業する場所でWBGT又は気温を測定して判断し、通風のよい屋外作業で判断可能な場合に限り、天気予報や熱中症予防情報等を補助的に活用する。

原則は作業場所での実測 / 天気予報等による代替は通風のよい屋外作業等で、それにより判断可能な場合 / 屋内の発熱体、輻射熱、局所的な高温多湿等を屋外予報だけで評価しない
行政指針推奨

熱中症リスクは気温だけでなく、高温・多湿、連続作業、通気性・透湿性の低い衣服・保護具、身体作業負荷の大きさを含めて評価する。

行政指針推奨

作業場所のWBGTを把握し、身体作業強度や着衣条件等を考慮して熱中症リスクを見積もり、WBGT基準値を超える場合はWBGT低減等の予防対策を実施する。

行政指針推奨

熱中症リスクに応じて作業時間を短縮し、作業の休止時間・休憩時間を確保する。休憩場所は作業従事者が速やかに利用できる位置へ整備する。

行政指針推奨

熱中症対策として、作業開始前や休憩時にあらかじめ身体を冷却して作業中の体温上昇を抑えるプレクーリングを、作業条件に応じて検討する。

行政指針推奨

高温多湿作業場所では作業中の巡視を頻繁に行い、作業開始前にも当日の体調や睡眠不足等の変化を声かけ等で確認し、異常を早期に把握する。

行政指針推奨

健康診断結果、当日の健康状態、暑熱順化の状況等を踏まえ、熱中症リスクが高い作業従事者には作業時間の短縮、作業内容・就業場所の調整等を検討する。

行政指針推奨

熱中症を疑わせる症状が現れた場合は一旦作業から離れ、涼しい場所で身体を冷やし、水分・塩分の摂取等を行い、あらかじめ定めた手順に従って必要な受診・搬送へつなぐ。

行政指針推奨

厚生労働省の熱中症防止ガイドラインは、水分と塩分を作業前後に摂取し、作業中も定期的に補給するよう示している。

暑熱環境で作業する場合
行政指針推奨

厚生労働省の熱中症防止ガイドラインは、暑さに慣れていない作業者について計画的に暑熱順化の期間を設けるよう示している。

暑熱環境での作業を開始・再開する場合など、暑熱順化が十分でないとき
行政指針推奨

厚生労働省の熱中症防止ガイドラインは、暑熱作業では透湿性・通気性の良い服や、身体を冷却する機能を持つ服の着用を対策として示している。

暑熱環境で作業する場合 / 粉じん・火花・切創・紫外線など別の危険に必要な被覆を損なわない範囲で選ぶ
行政指針推奨

厚生労働省の熱中症防止ガイドラインは、作業実態に合わせて送風・送水により身体を冷却する機能を持つ服やヘルメット等を採用し、作業中の深部体温上昇を抑える対策として活用するよう示している。

作業の実態、必要な保護衣・保護具、着衣によるWBGT補正等を確認して選ぶ / 送風・送水等の冷却機能を持つ服やヘルメットを使用する場合
行政指針条件付き

身体を冷却する機能を持つ服は一定程度有効でも、それだけで熱中症を防止することは困難であり、WBGT低減、作業時間短縮・休憩、水分塩分、巡視等の他対策と組み合わせる必要がある。

身体冷却機能を持つ服を熱中症対策として使用する場合 / 冷却服を上流対策や作業管理の代替として扱わない

09 / 根拠資料

確認した資料と場所

  1. 労働安全衛生規則第612条の2第1項「熱中症を生ずるおそれのある作業」報告体制 / 確認日 2026-09-04
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  2. 労働安全衛生規則第612条の2第2項「熱中症を生ずるおそれのある作業」重篤化防止手順 / 確認日 2026-09-04
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  3. 労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(令和7年5月20日 基発0520第6号)2「改正省令の内容等」暑熱な場所・熱中症を生ずるおそれのある作業の解釈 / 確認日 2026-09-03
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  4. 労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(令和7年5月20日 基発0520第6号)2「改正省令の内容等」暑熱な場所の判断方法 / 確認日 2026-09-03
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  5. 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要概要 第2「熱中症リスクの評価」1「有害性の要因の特定」 / 確認日 2026-09-03
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  6. 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要概要 第2「熱中症リスクの評価」2〜3 / 確認日 2026-09-03
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  7. 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要概要 第3「熱中症リスクに応じた措置」2〜3「作業環境管理・作業管理」 / 確認日 2026-09-03
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  8. 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要概要 第3「熱中症リスクに応じた措置」3〜4「作業管理・健康管理」 / 確認日 2026-09-03
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  9. 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要概要 第3「熱中症リスクに応じた措置」6「異常時の措置」 / 確認日 2026-09-03
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  10. 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要概要 第3「熱中症リスクに応じた措置」3「作業管理」 / 確認日 2026-09-03
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  11. 職場における熱中症防止のためのガイドライン第3 3(5)「服装による身体冷却」PDF 9〜10頁 / 確認日 2026-09-04
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