労働衛生 / 屋内作業 / 暑熱
屋内作業でも熱中症になる。工場・倉庫・機械室の暑熱をどう管理する?
屋根があること、直射日光がないこと、冷房設備があることだけでは安全判定になりません。発熱設備、輻射熱、高湿度、空気の動き、連続作業、身体作業負荷、通気しにくい保護具が重なると屋内でも熱負荷は上がります。
00 / 見落としやすい点
「屋内だから天気予報で30℃未満」は判断材料として弱い
機械・炉・配管・屋根
周囲気温だけでなく、発熱体や高温面から受ける熱を見ます。熱源との遮へい等でWBGTを下げます。
湿度が高い
汚水処理、洗浄、蒸気等で湿度が高い場所では、汗をかいても身体から熱を逃がしにくくなります。
保護具が熱をこもらせる
化学防護服、不透湿な衣服、呼吸用保護具等は必要な保護を維持したまま熱負荷も評価します。
重い・速い・長い
運搬、清掃、詰まり除去、連続歩行等の身体作業負荷と継続時間を一緒に見ます。
01 / 測定
屋内は「実際の作業位置」を測る
厚労省通達では、暑熱な場所かどうかは原則として実際に作業する場所でWBGT又は気温を実測します。通風のよい屋外で使える天気予報等の代替判断を、炉前、機械室、倉庫奥、地下設備、処理施設等へそのまま持ち込みません。
同じ建屋でも、シャッター付近、機械の横、屋根直下、地下階、洗浄工程などで条件が違えば測定位置を分けます。
02 / 環境側の対策
送風だけで終わらず、熱源と休憩場所を見る
- 発熱体・高温面との間へ遮へいを設けられないか
- 冷房・局所冷却等で実際の作業位置のWBGTを下げられないか
- 作業場所から速やかに移れる冷却・休憩場所があるか
- 既設の冷房・換気設備が現場条件で機能しているか
- 熱対策の送風・換気が粉じん、溶剤蒸気、汚染飛沫等を作業者へ拡散させないか
換気は目的を分ける。 熱中症対策の通風と、有機溶剤・粉じん・CO等の発散源対策は同じ「風」でも設計目的が違います。熱を逃がすための送風で有害物を呼吸域へ広げないよう、別の労働衛生条件を残します。
03 / 作業管理
冷房能力を超えるなら、人の作業時間を下げる
2026年ガイドラインは、WBGT低減だけでなく、作業時間短縮、休止・休憩、暑熱順化、プレクーリング、水分・塩分、服装、巡視を組み合わせる考え方です。設備対策がすぐに十分にならない場合も「暑いけど通常工程を維持」ではなく、作業計画側を変えます。
04 / 異常時
誰かがふらついてから連絡先を探さない
法令対象となる暑熱作業では、自覚症状・疑いを報告する体制と、作業離脱・身体冷却・必要な受診等の手順を事前に作成し周知します。屋内は外から異常が見えにくい区画もあるため、巡視・声かけ・連絡手段まで作業計画へ入れます。
05 / 関連する別リスク
暑い屋内では「熱中症だけ」を見ない
06 / 根拠付き労働衛生情報
屋内にもそのまま適用できる共通ルール
熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、作業従事者に自覚症状がある場合又は他の作業従事者が熱中症の疑いを発見した場合に、その旨を報告できる体制をあらかじめ整備し、関係作業従事者へ周知する。
熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、作業場ごとに作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じた医師の診察又は処置その他重篤化防止に必要な措置の内容と実施手順をあらかじめ定め、関係作業従事者へ周知する。
安衛則第612条の2の「熱中症を生ずるおそれのある作業」は、WBGT28度以上又は気温31度以上の場所で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業として扱う。
屋内・屋外という場所の名称ではなく、WBGT又は気温と作業継続時間等で対象条件を確認する / 非定常作業・臨時作業でも条件を満たすことが見込まれる場合は対象となる / この数値未満でも身体作業強度、着衣等により熱中症リスクが高い場合は予防対策を不要としない暑熱な場所に該当するかは原則として実際に作業する場所でWBGT又は気温を測定して判断し、通風のよい屋外作業で判断可能な場合に限り、天気予報や熱中症予防情報等を補助的に活用する。
原則は作業場所での実測 / 天気予報等による代替は通風のよい屋外作業等で、それにより判断可能な場合 / 屋内の発熱体、輻射熱、局所的な高温多湿等を屋外予報だけで評価しない熱中症リスクは気温だけでなく、高温・多湿、連続作業、通気性・透湿性の低い衣服・保護具、身体作業負荷の大きさを含めて評価する。
作業場所のWBGTを把握し、身体作業強度や着衣条件等を考慮して熱中症リスクを見積もり、WBGT基準値を超える場合はWBGT低減等の予防対策を実施する。
熱中症リスクに応じて作業時間を短縮し、作業の休止時間・休憩時間を確保する。休憩場所は作業従事者が速やかに利用できる位置へ整備する。
高温多湿作業場所では作業中の巡視を頻繁に行い、作業開始前にも当日の体調や睡眠不足等の変化を声かけ等で確認し、異常を早期に把握する。
健康診断結果、当日の健康状態、暑熱順化の状況等を踏まえ、熱中症リスクが高い作業従事者には作業時間の短縮、作業内容・就業場所の調整等を検討する。
厚生労働省の熱中症防止ガイドラインは、暑熱作業では透湿性・通気性の良い服や、身体を冷却する機能を持つ服の着用を対策として示している。
暑熱環境で作業する場合 / 粉じん・火花・切創・紫外線など別の危険に必要な被覆を損なわない範囲で選ぶ07 / 根拠資料
確認した資料と場所
- 労働安全衛生規則第612条の2第1項「熱中症を生ずるおそれのある作業」報告体制 / 確認日 2026-09-04原典を確認する
- 労働安全衛生規則第612条の2第2項「熱中症を生ずるおそれのある作業」重篤化防止手順 / 確認日 2026-09-04原典を確認する
- 労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(令和7年5月20日 基発0520第6号)2「改正省令の内容等」暑熱な場所・熱中症を生ずるおそれのある作業の解釈 / 確認日 2026-09-03原典を確認する
- 労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(令和7年5月20日 基発0520第6号)2「改正省令の内容等」暑熱な場所の判断方法 / 確認日 2026-09-03原典を確認する
- 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要概要 第2「熱中症リスクの評価」1「有害性の要因の特定」 / 確認日 2026-09-03原典を確認する
- 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要概要 第2「熱中症リスクの評価」2〜3 / 確認日 2026-09-03原典を確認する
- 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要概要 第3「熱中症リスクに応じた措置」2〜3「作業環境管理・作業管理」 / 確認日 2026-09-03原典を確認する
- 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要概要 第3「熱中症リスクに応じた措置」3〜4「作業管理・健康管理」 / 確認日 2026-09-03原典を確認する
- 職場における熱中症防止のためのガイドライン 概要概要 第3「熱中症リスクに応じた措置」3「作業管理」 / 確認日 2026-09-03原典を確認する