作業 / アーク溶接 / 鋼材

アーク溶接で鋼材を溶接するときの安全・溶接ヒューム・特別教育

被覆アーク溶接など、アーク溶接機を用いて鋼材を溶接する一般的な金属アーク溶接等作業を対象にします。ガス溶接、レーザー溶接、ろう付け、特定の溶接機メーカー固有操作は別に扱います。

対象
鋼材などの金属
労働安全・労働衛生の確認
2026-09-03
掲載している労働安全・労働衛生の情報
16件

00 / まず確認

最初に押さえるポイント

まず重大な禁止・必要・条件付き情報を確認します。各項目の「事業者 / 労働者 / 作業者」は、誰が行う内容かを示します。

  1. 法令必要行う人: 事業者

    アーク溶接機を用いて金属の溶接・溶断等の業務へ労働者を就かせる場合、事業者は労働安全衛生法第59条第3項の特別教育を行う必要がある。

    条件: アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等の業務に労働者を就かせる場合
  2. 法令必要行う人: 事業者

    手作業のアーク溶接等で使用する溶接棒等のホルダーは、感電を防ぐために必要な絶縁効力と耐熱性を有するものを使用する必要がある。

  3. 法令必要行う人: 事業者

    金属アーク溶接等作業に労働者を従事させる場合、事業者は労働者に有効な呼吸用保護具を使用させる必要がある。

  4. 法令条件付き行う人: 事業者

    金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場では、事業者は溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置による換気または同等以上の措置を講じる必要がある。

    条件: 金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場 / 特化則第38条の21の特則を、一般の化学物質作業にそのまま拡張しない
  5. 行政資料推奨行う人: 作業者

    アーク溶接では、アーク光による眼の障害を防ぐため、作業条件に合った遮光性能を有する溶接面などで眼と顔を保護する。

「溶接面」と「防じんマスク」だけでは対策は完結しません。感電・スパッター等の労働安全と、溶接ヒューム・アーク光等の労働衛生を分けて確認します。継続して行う屋内作業場では、個人ばく露測定の結果に応じた呼吸用保護具の選定や、面体付き保護具の年1回のフィット確認まで必要になります。

01 / 主な危険・有害要因

この作業で気をつけること

労働安全

  • アーク溶接回路・ホルダー等による感電
  • スパッター・高温金属によるやけど・火災

労働衛生

  • 溶接ヒュームの吸入による健康障害
  • アーク光の紫外線・可視光等による眼・皮膚障害

02 / 先に行う対策

保護具の前に確認する対策

  1. 01着用者の顔に合う面体を選び、装着後の漏れ込みを確認する
  2. 02粉じんの種類・作業内容に合った型式検定合格の防じんマスクを選ぶ
  3. 03火花の方向から可燃物・人を離す
法令条件付き事業者

継続して金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場で、測定結果に応じた面体付き呼吸用保護具を使用させる場合、事業者は1年以内ごとに1回、適切に装着されていることを確認し、その結果を3年間保存する必要がある。

特化則第38条の21第7項の呼吸用保護具のうち面体を有するものを使用させる場合
法令条件付き事業者

金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場では、事業者は溶接ヒューム濃度の測定結果から求める要求防護係数を上回る指定防護係数の呼吸用保護具を選び、労働者に使用させる必要がある。

金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場 / 特化則第38条の21の測定結果に応じた保護具を選ぶ場合
行政資料推奨作業者

アーク溶接では高温の溶融金属やスパッターが飛散するため、周囲の可燃物や第三者への影響を含め、火花・高温物の飛散範囲を管理する。

03 / 保護具

必要な保護具と条件

保護具は、停止・隔離・換気・集じん・作業方法などの対策をした後に残る危険へ使います。個人で買うことで、事業者・職長に必要な対策を置き換えません。

法令必要事業者

金属アーク溶接等作業に労働者を従事させる場合、事業者は労働者に有効な呼吸用保護具を使用させる必要がある。

法令必要労働者

事業者から金属アーク溶接等作業で呼吸用保護具の使用を命じられた労働者は、その呼吸用保護具を使用する必要がある。

事業者から特化則第38条の21第5項または第7項の呼吸用保護具の使用を命じられた場合
法令条件付き事業者

継続して金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場で、測定結果に応じた面体付き呼吸用保護具を使用させる場合、事業者は1年以内ごとに1回、適切に装着されていることを確認し、その結果を3年間保存する必要がある。

特化則第38条の21第7項の呼吸用保護具のうち面体を有するものを使用させる場合
法令条件付き事業者

金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場では、事業者は溶接ヒューム濃度の測定結果から求める要求防護係数を上回る指定防護係数の呼吸用保護具を選び、労働者に使用させる必要がある。

金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場 / 特化則第38条の21の測定結果に応じた保護具を選ぶ場合
行政資料推奨作業者

アーク光と高温のスパッターから皮膚を守るため、皮膚の露出を避け、難燃性等を考慮した作業衣や耐火エプロンなどを使用する。

行政資料推奨作業者

アーク溶接では、アーク光による眼の障害を防ぐため、作業条件に合った遮光性能を有する溶接面などで眼と顔を保護する。

05 / 教育・資格

教育や作業条件の確認

アーク溶接機を用いて金属の溶接・溶断等を行う業務は特別教育の対象です。安全衛生特別教育規程では学科11時間以上・実技10時間以上です。これとは別に、溶接ヒューム対策の作業主任者は所定の技能講習修了者から選任します。

法令必要事業者

アーク溶接等業務の特別教育は、学科教育11時間以上と、アーク溶接装置の取扱い・作業方法に関する実技教育10時間以上で構成される。

安衛則第36条第3号のアーク溶接等の業務に係る特別教育
法令必要事業者

アーク溶接機を用いて金属の溶接・溶断等の業務へ労働者を就かせる場合、事業者は労働安全衛生法第59条第3項の特別教育を行う必要がある。

アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等の業務に労働者を就かせる場合
法令必要事業者

金属アーク溶接等作業では、事業者は法令上の資格を有する者から作業主任者を選任する必要があり、金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習の修了者から選任することもできる。

06 / 役割別まとめ

ここまでの内容を本人と事業者・職長に分けて確認する

ここまでに掲載した内容を、誰が行うかでまとめ直しています。

目的1 / 作業する本人

自分がすること

作業者・労働者が行う内容です。

  • 事業者から金属アーク溶接等作業で呼吸用保護具の使用を命じられた労働者は、その呼吸用保護具を使用する必要がある。
  • アーク光と高温のスパッターから皮膚を守るため、皮膚の露出を避け、難燃性等を考慮した作業衣や耐火エプロンなどを使用する。
  • アーク溶接では、アーク光による眼の障害を防ぐため、作業条件に合った遮光性能を有する溶接面などで眼と顔を保護する。
  • アーク溶接では高温の溶融金属やスパッターが飛散するため、周囲の可燃物や第三者への影響を含め、火花・高温物の飛散範囲を管理する。

目的3 / 作業を任せる側

事業者・職長が確認すること

設備、作業計画、教育、測定、健康管理、保護具など、事業者・職長が行う内容です。

  • 手作業のアーク溶接等で使用する溶接棒等のホルダーは、感電を防ぐために必要な絶縁効力と耐熱性を有するものを使用する必要がある。
  • 金属アーク溶接等作業に労働者を従事させる場合、事業者は労働者に有効な呼吸用保護具を使用させる必要がある。
  • アーク溶接等業務の特別教育は、学科教育11時間以上と、アーク溶接装置の取扱い・作業方法に関する実技教育10時間以上で構成される。
  • アーク溶接機を用いて金属の溶接・溶断等の業務へ労働者を就かせる場合、事業者は労働安全衛生法第59条第3項の特別教育を行う必要がある。
  • 金属アーク溶接等作業主任者には、溶接ヒュームの汚染・吸入を防ぐ作業方法の決定と指揮、換気装置等の定期点検、保護具の使用状況の監視などの職務がある。
  • 金属アーク溶接等作業では、事業者は法令上の資格を有する者から作業主任者を選任する必要があり、金属アーク溶接等作業主任者限定技能講習の修了者から選任することもできる。
  • 導電体に囲まれた著しく狭い場所や、一定の高さ2m以上の導電性の高い場所など、安衛則第332条の条件で交流アーク溶接を行う場合は、交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を使用する必要がある。
  • 継続して金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場で、測定結果に応じた面体付き呼吸用保護具を使用させる場合、事業者は1年以内ごとに1回、適切に装着されていることを確認し、その結果を3年間保存する必要がある。
  • 溶接ヒューム濃度の測定結果に応じて換気量の増加など必要な措置を講じ、措置を行った場合はその効果を確認するため再度測定する必要がある。
  • 金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場で、新しい作業方法を採用するとき、または作業方法を変更するときは、事業者はあらかじめ個人ばく露測定により溶接ヒューム濃度を測定する必要がある。
  • 金属アーク溶接等作業を行う屋内作業場では、事業者は溶接ヒュームを減少させるため、全体換気装置による換気または同等以上の措置を講じる必要がある。
  • 金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場では、事業者は溶接ヒューム濃度の測定結果から求める要求防護係数を上回る指定防護係数の呼吸用保護具を選び、労働者に使用させる必要がある。

07 / 根拠資料

確認した資料と場所

  1. 労働安全衛生規則厚生労働省

    第331条

    資料の版・識別: 現行掲載版(2026-09-02確認) / 確認日: 2026-09-02

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  2. 特定化学物質障害予防規則厚生労働省

    第38条の21第5項・第7項・第9項・第12項

    資料の版・識別: 現行掲載版・第38条(2026-09-03確認) / 確認日: 2026-09-03

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  3. 労働安全衛生規則厚生労働省

    第36条第3号

    資料の版・識別: 現行掲載版(2026-09-02確認) / 確認日: 2026-09-02

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  4. 安全衛生特別教育規程厚生労働省

    第4条

    資料の版・識別: 現行掲載版(2026-09-02確認) / 確認日: 2026-09-02

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  5. 労働安全衛生法厚生労働省

    第59条第3項

    資料の版・識別: 現行掲載版(2026-09-02確認) / 確認日: 2026-09-02

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  6. 特定化学物質障害予防規則厚生労働省

    第28条の2

    資料の版・識別: 現行掲載版・第38条(2026-09-03確認) / 確認日: 2026-09-03

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  7. 特定化学物質障害予防規則厚生労働省

    第27条第1項・第2項

    資料の版・識別: 現行掲載版・第38条(2026-09-03確認) / 確認日: 2026-09-03

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  8. 労働安全衛生規則厚生労働省

    第332条

    資料の版・識別: 現行掲載版(2026-09-02確認) / 確認日: 2026-09-02

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  9. 金属アーク溶接等作業を継続して行う屋内作業場に係る溶接ヒュームの濃度の測定の方法等厚生労働省

    第2条・第3条

    資料の版・識別: 令和2年厚生労働省告示第286号・現行掲載版(2026-09-03確認) / 確認日: 2026-09-03

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  10. 特定化学物質障害予防規則厚生労働省

    第38条の21第1項〜第4項

    資料の版・識別: 現行掲載版・第38条(2026-09-03確認) / 確認日: 2026-09-03

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  11. 特定化学物質障害予防規則における第2類物質「溶接ヒューム」に係る関係省令等の解釈等について厚生労働省

    2・3「有効な呼吸用保護具の選択」

    資料の版・識別: 基安化発0115第1号・現行掲載版(2026-09-03確認) / 確認日: 2026-09-03

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  12. 職場のあんぜんサイト「アーク溶接」厚生労働省

    「2 アーク溶接作業に係る主要な労働災害」「3 労働災害防止対策」

    資料の版・識別: 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」掲載版(2026-09-03確認) / 確認日: 2026-09-03

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08 / 労働安全

事故・災害を防ぐ関連ガイド

09 / 労働衛生

健康・作業の負担・職場環境の関連ガイド

10 / 共通・制度

事業者・職長の対応・保護具の共通ガイド